結局プルオーバー

二転三転します

OMG

ナンバーガールが再始動する!

 

それもライジングサンで。そこから何発かヤるらしい。

 

あり得ない!

 

まあなんともべらぼうに嬉しいのだが、そうは言っても私は別にナンバーガール世代という訳ではない。

正直なところザゼンボーイズから彼らのことを知った身だ。彼らが解散した2002年、私はまだ小学生だった。小学生とは言わずとも中学生くらいでナンバーガールを聴いていたら、ナンバーガールに触れていたら、私は一体どうたったのだろう、とは思う。バンドを始めていたのだろうか。髪を染めてみたりしたのだろうか。見当もつかないが、つかなくても何の問題もない。

 

話は戻って、森道市場というイベントが愛知県にはあって、私が初めて参加した2013年当時の出演者の中にザゼンボーイズという名前があった(ここで私は人生で初めて他人にサインを貰う事になるのだが、それはまた別の話)。私は面白いバンド名だと気になり、アルバムを手に取って早速流してみると、はあとぶれいくという曲がやたらめったら好きになった。これは今でも変わっていない。

そうして当日、いざライブを目の当たりにしたら何が何だか分からなくて、無秩序で破壊的で、それなのにメンバーみんな身軽で飄々としていて、何なんだこれは、恐ろしい、しかしそれ以上に楽しすぎる、そんな違和感と衝撃が確かに骨の髄に刻まれて、どうにも大好きなバンドとなった。その後彼らのことを調べているとどうもフロントマン・向井秀徳氏には前身のバンドがあるらしい。しかもなんとも伝説的なバンドのようだ。ちょっと聴いてみよう。

 

ナンバーガール

 

何なんだこれは。

 

こんな入り方なのだ。彼らとの出会いはいつも私を混乱させる。ただ、分からない事は時に良い事だ。

 

思えば私はこういった出会い方が多かった。

 

ミッシェルガンエレファントを知ったのもthe birthdayからだし、

イエローモンキーを知ったのも吉井和哉のソロからだ。

きちんと音楽を聴いていなかったからこういった出会い方になるのだが、ひょっとするとこういった出会い方をするリスナーは私くらいの年代に多いのではないだろうか。

第二次物心期というか、自己紹介の趣味・特技欄に私たちが頭を悩ませ始める頃、遥か彼方の世界では伝説的なバンドが続々と活動に幕を下ろし、あるいは形を変え、そのフォロワーたちが方々で芽吹き始め、テレビの音楽番組の衰退と反比例するように小〜中規模のフェスやイベントが各地で開催され音楽はテレビの中のものという幼少期より染み付いた考えから手軽に観に行けるもの、知人間で共有するものという考えにシフトしていった。当然前々から大人たちはそうした手段を用いていた訳だが、より距離や温度が近くなったのはこれくらいの時期なのではないだろうか。単に谷間の世代と言ってしまえばそうなのかも知れないが、ある種フェス黎明期ど真ん中直撃の世代なのかも知れない。

 

話が強めに逸れてしまった。

 

向井秀徳田渕ひさ子アヒトイナザワ中尾憲太郎、彼らが生み出した"ナンバーガール"に、とうとう初めて出会えるかも知れない。いや絶対に会う。機会を与えられた以上、目撃せずには死ねない。

 

「〜するまでは死ねない」、海外ではどうだか分からないが、日本人は大きな目標を立てる時にこういった表現をする。ハラキリ文化に由来していたら赤っ恥だが、ひょっとするとこんな未来があるとは思ってもみなかったからそんな言い方をするのかも知れない。

なんとなく見えていた、なんとなく用意していた死へのレールに大きな変化点が加わって、悲喜交々あろうがひとまず飛んだり跳ねたりしていたら進路を見失って、それでもこの出来事だけは体感しないといけない、ここまでは生きないといけないという強い使命感からこういう表現をするのかも知れない。

 

また話が強めに逸れてしまった。完全に舞い上がってしまっている。

 

第二次物心期を経た後もだらだらと悶々デイズを継続し早数年、ひょっとすると既に十数年になるかもだが、くだらない悩みや気に病む程でもない言葉に苛まれ、唯一見つけた道化という生きる術に縋って辛うじて息をしてきた。私が集団で生きるにはこれしかないと思っていた。なにせ自分は何も持っていなかったから。そうして追い込まれ続けてきた甲斐あってか、他人と比べても無駄や後悔の多い人生を送ってきたと思うし、恐らくこの先も劇的な変化は期待出来ないと思う。けれども、ちゃぶ台に所狭しと並べられた悩みや不満を前にうーんうーんと唸っていた私を尻目に、台ごと全てひっくり返して、片付けなんていいからそのまま外食行っちゃえよ、食べたくなかったら捨てちまえよと、私に全く足りていない感情を教えてくれる彼らのような存在がいるから、人生は面白いし勝手に辞められないし自分から辞めるなんて真っ平御免だ。

やや傍若無人な言い方だし、ナンバーガールはそんなバンドじゃないと言われるかも知れないが、私が彼らに触れて得たものがたまたまこれで、掛け替えのないものになった事実があるのだ。筋違いの副産物を笑えるほど正当性の高い人間はこの世にそういない。

音楽を聴く事くらいじゃ人間性も人生も周囲との関わり方もそう大して変わりはしないが、自分に足りない部分を教えてくれる事は実は結構ある。

ナンバーガールはそんな数少ないバンド。私の人生を豊かにしてくれた……と言えればそれはそれは素敵な締めくくりだったが、そんな事はとても言えないし私がそれを許す道理もない。

 

ナンバーガールは私の人生に破壊を教えてくれたバンド。たまには何もかも壊してしまえばよいのだ。

守らなきゃいけないものなんてそんなに多くなくていい。

 

 

ナンバーガール、絶対に目撃してやるからな。